いくのさん家の思い | いくのさん家いくのさん家

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いくのさん家の思い

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平成8年の暑い夏、大手の社会福祉法人に勤めていた有志が、「高齢でも障がいがあっても普通に暮らせる社会(ノーマライゼーション)を実現したい」を合言葉に、大山の民宿に集まりました。有志の当面の目標は、独立して米子市と鳥取市に認知症対応のデイサービスを開所するということ。お金もコネもない有志にあったのは、ただの思いだけ。夜遅くまで理念を語り合った翌朝、民宿から歩いてすぐ近くにある元谷という場所で、朝日に向かって実現を誓ったのでした。

なんの先の保障もない無謀な挑戦に驚き呆れる人もありましたが、その年の9月に鳥取市湖山町北4丁目の民家をお借りし、東伯町(現琴浦町)の森本医院からいただいた軽ライトバンを送迎車に、「デイサービスいくのさん家」が始まりました。

「いくのさん家」の名前の由来は、認知症の本人や家族を支えるための支援サービスをつくりたい、という趣旨に賛同して、ほとんど無料に近い金額で借家を貸してくださった幾野さんという大家さんのお名前にちなんで付けさせていただきました。 当時は利用者さんから直接いただく利用料だけが唯一の収入源でしたので、平成10年4月に鳥取市役所からE型デイサービスの事業委託を受けるまでの一年半の赤字は、現理事長の井上徹が個人の貯金を取り崩して補填していました。

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Tシャツを作ってバザーやフリーマーケットに出店したこともありました。 忘れてならないのは、「認知症の人と家族の会鳥取県支部」の皆さんです。いつも励ましていただき、財政が苦しいときに寄付やお米をいただくなど、物心両面で支えていただきました。私たちも公民館に出向いて相談会を開催したり、まだ認知症への社会的理解の少ない時期に、啓発講演会を開催したりしました。 皆さんから「いくのさん家=認知症」というイメージをいただけるようになったのも、家族の会の皆さんのおかげと考えています。

あれから約20年がたち、認知症に対する制度だけでなく、社会のイメージも大きく変わりました。「いくのさん家」の事業所も職員数も大きく増えましたが、いつも「ひとりの認知症のご本人のその人らしさから出発する」ことを忘れてはいけないと考えています。

「いくのさん家」はたくさんの人たちに支えられています。見守りや生活支援をしてくださるボランティアさんの存在や地域の皆さんの温かい理解は、「いくのさん家」の支援のありようを大きく変えてくださいました。 もし次の20年が我々に与えられるのであれば、この鳥取市に暮らすひとりでも多くの方が「その人らしさ」を大事にされるよう、微力ではありますが努めていきたいと考えています。